2024年12月14日、福岡大学においてCOREE 2を開催しました。当日は10名の参加者が集まりました。
今回は長加奈子先生(福岡大学)に、教室内外でのデータ収集における倫理的配慮についてお話しいただきました。まず、福岡大学における研究倫理の体制についてご説明いただき、その後、実際に起こりうる状況をクイズ形式で提示していただきました。参加者は少人数のグループで、提示されたそれぞれの状況でデータを収集することが可能かどうか、また必要な手続きがある場合はどのような手続きが求められるかを議論しました。最後に、全体で議論を行いながら長先生から詳しい解説をいただきました。
提示されたクイズの一例を引用すると、「英語学習に関するアンケートを実施したいので、授業中に学生に回答してもらった」という状況が提示されました。この状況において、アンケートの結果を自身の研究に利用することは可能かどうかという問いが参加者に対して投げかけられました。この場合、授業中にアンケートを実施することの妥当性と、アンケートの目的と研究利用の関係性によって手続きが異なることが長先生より解説されました。たとえば、当該授業の改善を目的としたアンケートで集めたデータを研究に利用する場合、目的外利用となるため、オプトアウトの手続きが必要になります。
一昔前にはあまり気を配らなかったような場面でも、近年では、調査に協力していただく方々への配慮がこれまで以上に求められています。そのため、どのような手続きを踏むべきかについて長先生から具体的にご説明いただき、参加者にとって知識をアップデートする貴重な機会となりました。
LET九州・沖縄支部紀要や全国機関誌 Language Education & Technology に論文を投稿いただく際には、投稿者自身に投稿論文チェックリストを用いて倫理的配慮がなされた研究であることを確認していただいています。また、査読の過程でも研究倫理の面で問題がないことを確認しています。適切な手続きを踏んで研究を行うことは、研究の質を高めるだけでなく、研究者自身を守るためにも重要です。ぜひ、こういった会を活用し、研究倫理に関する理解を深めていただければと思います。
次回の現場発信型英語教育研究会は、2025年4月下旬頃に開催を予定しています。日頃の教育活動の中で感じる疑問や課題を研究につなげる機会として、ぜひご参加ください。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。